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 石田 肇 木村 亮介 泉水 奏 小金渕 佳江  澤藤 りかい

 研究概要 澤藤 りかい

1. パレオアジアデータベースの構築・編集
2. 江戸時代人歯石からの食物DNA解析
3. 礼文島の浜中2遺跡の土壌DNA解析

1. パレオアジアデータベースの構築・編集(澤藤りかい, 石田 肇)

新学術領域研究パレオアジアプロジェクト(http://paleoasia.jp/)において, アジアの〜約2万年前の人骨が出土した遺跡をパレオアジアデータベースに登録している。

文献から遺跡情報を拾い集め, 骨の種類, MIS, 年代測定結果などをデータベースに登録する。

また, 既に登録されたデータが正しいか確認作業も行っている。 その成果は2017年12月9-10日のパレオアジア文化史学第4回研究大会で一部発表を行った。 戻る↑

2. 江戸時代人歯石からの食物DNA解析(澤藤りかい)

過去の食物の多様性を復元するには, 種・属レベルで食物の詳細な品目を同定することが重要である。

それを可能にする新たな方法論として, DNA metabarcoding法を用いた歯石からの植物DNA解析を試みた。

その結果, 合計で7科10属の植物の分類群を同定することができた。

特にデンプン粒解析が難しいネギ属や, 生薬(竜脳)由来と思われるフタバガキ科の植物が同定されたことは特筆すべき結果である。

一方で動物(肉・魚)のDNA解析はヒトDNAの影響があり, DNA metabarcoding法を用いての解析は未だに難しいことが分かった。

この成果は第71回日本人類学会大会で発表を行った。戻る↑

3. 礼文島の浜中2遺跡の土壌DNA解析(澤藤りかい)

過去の環境を復元する方法として花粉分析など様々な手法がある。

近年新たに出てきた手法として, 土壌DNA分析がある。

これは, 湖の堆積物・永久凍土・遺跡の土壌などからDNAを抽出し, そのDNAに含まれる植物・動物DNAを同定することによって, その当時の植物・動物相を復元する手法である。

本研究では, この手法を礼文島の浜中2遺跡に適用した。

浜中2遺跡はオホーツク文化を中心として, 縄文時代〜アイヌ期まで連綿と続く遺跡である。

この遺跡の各層から土壌を採取し、DNAを抽出し、植物・動物・魚のユニバーサルプライマーを用いてDNA metabarcoding解析を行った。

その結果、植物と魚の分類群が多数同定された。

遺跡の植物・動物を調べることにより, 当時の生態系や, ヒトが食物や衣服などで利用していた品物を推定することが期待される。

今後は浜中2遺跡の花粉・骨・植物遺存体の分析結果と比較し, また遺跡以外の周囲の植物相と比較することで, ヒトの植物・動物利用について探っていく予定である。戻る↑