琉球大学21世紀COEプログラムLOGO サンゴ礁島嶼系の生物多様性の総合解析:アジア太平洋域における研究教育拠点形成
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** Newsletter アマミキヨ no. 7(Jul. 2008) **
- COE研究員の研究紹介 -
琉球列島の更新世カメ類化石についての分類学的研究
高橋 亮雄(種の多様性研究グループ)

 琉球列島には、一般に「琉球石灰岩」として知られる、第四紀更新世に形成されたサンゴ礁性の地層が広く分布している。この地層には、多くのフィッシャーと呼ばれる“割れ目”や洞穴が発達し、これらを充填するおよそ1〜5万年前(後期更新世の最終氷期に相当)の陸成堆積物からは、リュウキュウジカなどの絶滅種を含む多様な脊椎動物の化石が発見されている。こうした化石は、琉球列島の陸生脊椎動物相がほんの数万年前まで現在よりも多様であったことを示すだけでなく、現生陸生生物の系統地理パタンなどによってみちびかれた琉球列島の古地理仮説を検証あるいは補強するための重要な資料となる。しかしながら残念なことに、これらについての従来の研究はすべて、適切な比較標本や解析を欠いたものであったため、化石の分類・同定や系統的な位置づけにおいて多くの解決すべき問題を残してきた。

  わたしは、こうした陸生脊椎動物化石のうち、とくにカメ類の化石についての分類学的研究をおこなってきた。カメ類は、背骨や肋骨などが発達してできた頑丈な甲羅を持っているため保存されやすく、断片的ながらたくさんの化石が琉球列島から広く発見されている。また、カメ類は、骨の形態形質についての研究がよくなされているため、断片化石であってもしばしば分類に有用な形質が認められる。

  これまでの研究により、ほんの数万年前まで琉球列島には、在来のイシガメ科3種(セマルハコガメ、ミナミイシガメ、リュウキュウヤマガメ)に加え、現在では絶滅してしまったイシガメ科4種とリクガメ科1種が分布していたことがあきらかになっている。徳之島、沖縄島、伊江島、宮古島、与那国島から発見されたオオヤマリクガメ(リクガメ科)と徳之島から発見されたアマミヤマガメ(イシガメ科)は、それぞれ東南アジアに分布するムツアシガメ属の絶滅種と沖縄諸島の固有種リュウキュウヤマガメに近縁な絶滅種として記載された。このほか、沖縄島、久米島および徳之島からは、琉球列島では八重山諸島に分布するセマルハコガメと同属の1絶滅種が、宮古島からは日本本土と大隅諸島に分布するニホンイシガメに近縁なイシガメ属の1絶滅種が、さらに久米島からは上述の絶滅種とも在来種とも明らかに異なるカメの化石が1種発見されている。これらの化石は、後期更新世の琉球列島には少なくとも8種の陸生カメ類が分布したが、その多くがおよそ1万年前までに急速に絶滅したことを示している。また、宮古島のイシガメ属の1絶滅種は宮古諸島に固有と考えられ、このことは宮古諸島が比較的最近(中〜後期更新世)に八重山諸島と接続したとする古地理仮説に対し、強い疑問を投げかけている。このような後期更新世の“大量絶滅”を引き起こした原因の解明や古地理仮説の検証のために、カメ類だけでなくそのほかの動物化石についての分類学的研究の発展が強く望まれる。

沖縄県南城市における化石発掘調査の様子 沖縄県南城市から発見された後期更新世の絶滅種オオヤマリクガメの頭骨化石
沖縄県南城市における化石発掘調査の様子 沖縄県南城市から発見された後期更新世の絶滅種オオヤマリクガメの頭骨化石
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