琉球大学医学部精神病医学分野

研究紹介・報告

生物学的精神医学の研究(琉球大学における取り組み)

生物学的精神医学領域と社会精神医学領域において、琉球大学が取り組んでいる、臨床薬理遺伝学的研究、神経生理学的研究および社会精神医学的研究の現状と展望を紹介します。なお当院は2005年1月1日より臨床精神神経薬理学研修施設に認定されております。
 
また、新たな試みとして、各テーマ別に研究プロジェクトを立ち上げました。従来研究グループの垣根を越えた人材が参画し、数年後を見据えた研究計画を立てていきます。興味ある分野でのご参加をお待ちしております。

研究グループ紹介

臨床精神薬理グループ

向精神薬に対する臨床反応には大きな個体差があります。「投与してみなければ分からない」が精神科の薬物療法の現状であり、となれば「恐る恐る少量より開始し漸増する」しかなく、反応の見極めが遅滞が生じ治療は渋滞し、寛解に至るまでの効率性や迅速性は損なわれます。
このような精神科薬物療法の限界を幾ばくかでも打破すべく、治療前に薬物反応性を予測する客観的な指標の研究を行っています。現在は、難治性うつ病性障害の合理的な薬物療法をテーマの中心に、病前気質、縦断経過、横断症候などの臨床背景、向精神薬の薬物動態学的・動態学的視点、サイトカイン・神経栄養因子の濃度、更にはこれらを機能を規定する遺伝学的因子などの生物学的指標と薬物反応性との関連を探っています。
臨床に密着したテーマですので「研究すればするほど臨床の腕が上がる」こと請け合いです。

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精神生理学グループ

精神生理学グループでは、近赤外線分光法(NIRS、光トポグラフィー)、事象関連電位(Event-Related Potentials、ERPs)などの精神生理学的な手法を用いて、各種精神神経疾患の病態研究を行いながら、その知見を臨床面で診断、治療へ応用する可能性を探っています。最近では、同じ教室内の他の研究グループ(臨床精神薬理グループ、社会精神医学グループ、臨床心理学グループ)、院内他科(脳神経外科、神経内科、腎臓内科、放射線科)と共同研究を行ったりして研究面で他領域との連携の動きを強めています。また院外の神経内科、精神科など、臨床神経科学に携わる先生方との定期的な情報交換の場としてOkinawa Clinical Neuro-science勉強会も沖縄病院神経内科(諏訪園秀吾先生)と主催しています。現在のグループ内のホットトピックとしては、tDCS(経頭蓋直流刺激)のうつ病治療への応用があり、目下その準備を進めているところです。

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社会精神医学グループ

社会精神医学とは,疫学的・社会科学的アプローチを用いて,社会的文脈からこころの健康問題の予防,疾患の診断・治療・リハビリテーションについて研究を行う精神医学の一分野です。この分野は他の関連領域と幅広く関心を共有し,さらに心理学,看護学,社会学,教育学,公衆衛生学など多くの関連学問分野の知見を活用して研究を進めます。 当講座では,うつ病・自殺に対する偏見誤解,一般住民・職種別のメンタルヘルス,気質と気分障害に関する研究を行っております。専門家から一般向けまで幅広い対象に対する啓発講演など,地域に根ざした実践的な活動を行い,自殺予防に貢献することを目標としています。

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臨床心理学グループ

精神医学分野において,心理学とくに臨床心理学は臨床実践上,欠かすことのできない学問です。臨床心理学は,多様なアプローチによって,ヒトの(とくに精神疾患などをもたらす)心の仕組み(構造)や働き(機能)を解明し,実証的な知見を得ることを目指しています。
現在当科では,抑うつや不安などの症状を呈する疾患(うつ病,不安障害,摂食障害,発達障害の二次障害など)の発症・維持・増悪のメカニズムについて,パーソナリティ(気質・性格傾向),情報処理過程(感情調整不全,曖昧さへの態度)に着目した研究を行っています。特定の診断(疾患)に対する個別アプローチではなく,特定の心理学的特性に焦点を当て,診断横断的なアプローチを採用しております。さらに,こうした研究成果に裏づけられた介入技法として,Mindfulness-Based PsychotherapyやDialectical Behavior Therapyの実践を行っています。

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研究プロジェクト

復職支援研究

うつ病に罹患した方において復職を促進する因子を薬理・生理・社会精神医学グループで協力をしながら調査しています。

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バルプロ酸副作用研究

気分障害やてんかん治療に、バルプロ酸は非常に有効性の高い薬剤ですが、副作用として、血中のアンモニア値が高くなる事もあります。近年では、この原因がバルプロ酸によって引き起こされるカルニチンの欠乏により、発現する事が明らかになりました。
カルニチン補充療法は有用な手段だと考えられていますが、適切な治療指針はあきらかになっておりません。この研究は、高アンモニア血症の患者さんにカルニチン補充療法を行い、血中カルニチン濃度と血中アンモニア値の推移の関係を明確にし、さらには精神機能等の評価を行うことで、カルニチン補充療法の治療法を確立する事を目的としています。

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発達障害研究

自閉症特性を持った成人例の早期診断につながる手がかりを調べています。
将来的に、この研究が彼らのうつ病などの二次的障害合併の予防につながると考えています。

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難治性気分障害の予後研究

寛解に至らない気分障害の患者さんは少なくありません。薬物・非薬物療法を含め、多角的な視点から治療をアプローチします。また、再発予防についての研究も行っています。

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統合失調症の前駆状態研究

学童期・思春期の不登校の問題、不安障害、気分障害を抱えた症例について、詳細な病歴聴取、光トポグラフィー検査、各種心理検査などを用いて統合失調症の発症予測因子、予後調査について研究しています。

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摂食障害研究

当院におけるプログラムを用いた摂食障害治療の治療成績および予後予測因子について研究を行っています。

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混合性うつ病の臨床評価および生物学的側面に関する研究

研究はうつ病エピソードのため受診された方々を対象とします。混合性うつ病は、通常のうつ病に加えて焦燥感・易怒性・転導性が混じった不安定な病像であり、その治療には緊急性と細心の配慮が必要となりますが、残念ながら現状では十分な精度をもって診断されてはいません。そこで、われわれは混合性うつ病に関する独自の質問票を作成し、神経生理および神経免疫学的指標との関連について検討を行っています。この研究により、混合性うつ病の診断力を高めることで早期の対応を促し、その生物学的な機序についても明らかとなることが期待されます。

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Temperament and Character Inventory (TCI) 性格検査を用いた各種精神疾患の病前性格の評価およびそれらの治療反応の予測指標としての臨床応用性の検討

本研究ではすべての精神疾患の診断を受けた方々が対象となります。治療前と治療後にTCI性格検査を行うことで、疾患に特有な病前の素因・気質・性格を調査するとともに、治療による気質・性格特性の変化についても検討しています。この研究により、各種精神疾患の特性に合った心理・精神療法が見出されることを期待しています。また、結果をグラフでご確認いただき、ご参加いただいた方々のメンタルヘルスの向上にも役立てていただいております。

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