1. このサイトについて
琉球大学共用機器の顕微レーザーラマン分光装置(顕微ラマン)に関する技術情報をまとめています。
2. 装置紹介
ラマン分光法は、試料にレーザー光を照射した際に発生するラマン散乱光から、試料の化学・結晶構造に関する情報を調べる分析手法です。ラマン分光法は構造の違いを敏感に検出するため、ラマンスペクトルの比較から物質の同定も可能です。
また装置は共焦点顕微鏡と電動ステージも備わっており、2D/3Dマッピング分析も可能です。

2.1. 主な仕様
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搭載レーザーは波長532nm、出力は100mW、減光フィルターは0.1、1%、10%、25%、50%、100%の6段階
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回折格子の刻線数(刻み幅)は、1mmあたり600本 (grooves/mmまたは gr/mm) 、1200本、1800本、2400本の4種類
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対物レンズは5倍、10倍 、ノーマル100倍、長距離作動100倍 (LW100倍)の4種類。
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トップカメラは光学観察用。その他、レーザーの照射状況を確認する内蔵カメラを備える。
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XY電動ステージ、Z方向のみ半電動操作
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共焦点顕微鏡を備えたラマン顕微鏡
3. 利用案内
3.1. 学内
3.1.1. 学内ユーザー分析
操作説明(オペトレ)を受けた後、自分で測定します。
利用手続きの詳細などは次のURLのリンク先(学内限定)をご覧ください。
3.1.2. 依頼分析(学内)
サンプルを研究基盤統括センターに提出し、担当スタッフがラマンスペクトルを測定します。
申し込みの手続きと料金等は次のURLのリンク先(学内限定)をご覧ください。
3.2. 学外
3.2.1. 学外ユーザー分析
琉球大学の担当スタッフの操作説明(オペトレ)を受けた後、ご自身でサンプルを測定します。 依頼分析(学外)よりリーズナブルで、測定条件をご自身で細かく調整しながら測定可能です。 申し込みの手続きと料金、利用条件などは次のURLのリンク先(学内限定)をご覧ください。
3.2.2. 依頼分析(学内)
サンプルを研究基盤統括センターに提出し、琉球大学の担当スタッフがラマンスペクトルを測定します。
申し込みの手続きと料金、利用条件などは次のURLのリンク先(学内限定)をご覧ください。
3.2.3. ご利用にあたっての注意点
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液体・固体のサンプルの形状を問わず測定可能です。
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固体の場合はサンプルステージの大きさに収まるサイズに加工をお願いする場合があります。
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ラマンスペクトル測定は強いレーザー光を使用するため、一部のサンプルは劣化変性します。
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測定手法の特徴として、蛍光妨害の発生するサンプルは測定をお断りする場合があります(ラマンスペクトルを測定できないため)。
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依頼分析(学外)の場合、受注完了・入金確認後、繁忙期を除いて最短2週間程度で速報を報告いたします。
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依頼分析(学外)の依頼に当たっては測定条件の事前提出をお願いする場合があります。
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さらに成分同定の依頼の場合は、比較用のサンプルの提出もお願いします(ラマンスペクトルのデータベースのライセンス未契約のため)。
4. 各種リンク
4.2. 講習会・セミナー資料など(学内限定)
4.3. センターオリジナルマニュアル(学内限定)
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顕微レーザーラマン分光装置 HORIBA XploRA PLUS 初心者向けマニュアル http://w3.u-ryukyu.ac.jp/rfc/gakunai/kikilist/raman/manual_raman_basic.html
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顕微レーザーラマン分光装置 HORIBA XploRA PLUS マッピング測定マニュアル http://w3.u-ryukyu.ac.jp/rfc/gakunai/kikilist/raman//manual_raman_adv_mapping.html
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Raman microscope HORIBA XploRA PLUS operation manual for beginners (英語版マニュアル) http://w3.u-ryukyu.ac.jp/rfc/gakunai/kikilist/raman/manual_raman_basic_en.pdf
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試料別分析例 http://w3.u-ryukyu.ac.jp/rfc/gakunai/kikilist/raman//note_raman_appl.pdf
5. 測定例
5.1. 共通の測定条件
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装置・・・堀場製作所 XploRA Plus
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検出器・・・Syncerity OE
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レーザー波長・・・532 nm
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レーザー最大出力・・・100mW
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ICS感度補正・・・On
5.2. 炭酸カルシウム (結晶多形の判別)
サンプル名 |
アラゴナイト |
カルサイト |
Acq. time (s) |
12.3 (AutoExposure On) |
32 |
Accumulations |
8 |
16 |
DeNoise |
Off |
Off |
Objective |
x100ノーマル |
x100ノーマル |
Grating |
2400 (750nm) |
2400 (400nm) |
Filter |
100% |
10% |
Slit (μm) |
100 |
50 |
Hole (μm) |
100 |
100 |
データ補正 |
なし |
なし |
測定時間 |
24mm:13sec |
1h:56mm |
5.3. ポリエチレン (赤外吸収スペクトルとラマンスペクトルの比較)
サンプル名 |
ポリエチレンフィルム |
露光時間 (Acq. time (s)) |
2 |
積算回数 (Accumulations) |
8 |
測定範囲 (cm-1) |
60…4000 |
DeNoise |
Off |
対物レンズ (Objective) |
x100ノーマル |
回折格子(Grating) |
600 (750nm) |
レーザー出力 |
|
Filter |
50% |
Slit (μm) |
100 |
50 |
Hole (μm) |
100 |
100 |
データ補正 |
なし |
赤外吸収スペクトルは、当センターのFT-IR分光計(日本分光 FT/IR-6100)により測定しました。
サンプル名 |
ポリエチレンフィルム |
測定手法 |
透過法 |
積算回数 (Accumulations) |
12 |
分解 (cm-1) |
4 |
ゼロフィリング |
On |
アポダイゼーション |
Cosine |
ゲイン |
Auto (2) |
アパーチャー |
7.1 mm |
分解 (cm-1) |
4 |
スキャンスピード |
Auto (2 mm/sec) |
フィルタ |
Auto (10000 Hz) |
分解 (cm-1) |
4 |
5.4. 硫酸ナトリウム (回折格子による分解能の比較)
刻線数の大きい回折格子に変えることでラマンバンドの波数分解能が向上します。一方、ラマンバンドの強度は下がり、1スキャン当たりの測定範囲も狭くなります。そのため、測定時間も長くなります。
測定の目的に合わせた適切な回折格子の選択はとても大切です。
サンプル名 |
硫酸ナトリウム |
動作 |
Acq. time (s) |
2 |
16 |
Accumulations |
8 |
8 |
測定範囲 (cm-1) |
60…4000 |
60…4000 |
DeNoise |
Off |
Lite |
Objective |
x100ノーマル |
x100ノーマル |
Grating |
600 (750nm) |
2400 (400nm) |
Filter |
50% |
25% |
Slit (μm) |
100 |
50 |
Hole (μm) |
100 |
100 |
データ補正 |
なし |
なし |
測定時間 |