■集団の系統 |1|2|
集団間の系統の研究は遺伝学だけで足りそうであるが、それは全く間違いです。 遺伝学は基本的に現代の人類集団だけを対象としています。さらにその現代の人類集団の中の少数民族とよばれる集団は混血が進み、その存亡さえいまや怪しくなっているのです。この状態は、いくら実験系といえ、最初から試料が汚染している状態と同じです。さらに、地域的な軸はあるものの、時間的な軸がないため、分析結果が薄っぺらなものになってしまっているかもしれません。 不完全な地域軸も時間軸を無視して、人々の拡散の経路などを仮説をたてれば、ほら吹きといわれても仕方ありません。しかし、最近、集団遺伝学の分野から形態形質を用いて研究しようという動きが出てきました。各形態形質の遺伝性を仮定し、そこから遺伝距離を求め、集団間の系統を調査しようとするものです。これは、今までの類型学的な研究からの脱皮をはかるものとして注目できます。 |
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