研究内容

研究内容

公衆衛生学(衛生学を含む広義)は「組織的な対策によって、人々(集団)の疾病予防・健康増進を図る」学問です。
当講座では、疫学研究(一般人集団から情報を収集して解析すること)に取り組み、以下のテーマを中心に疾病予防や 健康増進に関するエビデンスの創出に努めています。沖縄の課題に注目し、公衆衛生の向上につなげる研究と実践の 両面で、しかも関連する学内外の組織と連携しながら活動していきます。
このような私どもの思いに共感し、一緒に活動していただける自治体、事業所、学校などの関係者、公衆衛生学・疫学を 深く学びたい大学院進学希望者はぜひお気軽に当講座をお訪ねください。教室員一同、ご来訪をお待ちしています。


主たる研究テーマ
・ 一般人での生活習慣・バイオマーカーと非感染性疾患(特に循環器系領域)
非感染性疾患の危険因子・予測因子を探り、予防法を確立するため、一般人集団を対象に生活習慣・バイオマーカーと疾患との関連をマクロレベルで検証する研究(疫学研究)を推進しています。 非感染性疾患の中でも循環器系領域(虚血性心疾患、脳卒中、それらの危険因子である高血圧、代謝異常)を中心に取り組んでいます。また、複数の疾患の相互関連、 包括的予防の重要性などを鑑みて、他の領域にも関心を持っています。このような研究は、疾病予防につながる生活習慣の 推奨、病態の解明などに寄与します。


・ 公衆衛生の立場での生活習慣病予防対策
公衆衛生は人集団と環境への組織的アプローチによって疾病予防を推し進めるものです。 臨床が担う個人を対象にした予防は ハイリスクアプローチと称されるのに対し、公衆衛生が担う集団全体への働きかけはポピュレーションアプローチと称されて います。 また、ハイリスク者の臨床への橋渡しや臨床が担う予防の体制整備なども公衆衛生の重要な役割です。 特定健康診査・ 特定保健指導をはじめとする地域・職域での生活習慣病予防対策を評価し、効果的な対策の確立につながる疫学研究を進めます。


・ 妊婦の生活習慣や環境と子どもの成長発達
妊婦の生活習慣や環境(化学物質の曝露など)が子どもの成長・発達(身体発育、先天異常、性分化の異常、精神神経発達障害、 免疫系の異常、代謝・内分泌系の異常など)に影響を及ぼす可能性があります。その影響を明らかにする研究は、子どもが健やかに 成長できる環境、安心して子育てができる環境の実現につながります。

    〇エコチル調査琉球大学サブユニットセンターホームページ


・ 臨床研究への疫学専門家としての協力
疫学は人を対象とする研究の基礎をなす学問であり、臨床研究にも通じるものです。 疫学専門家として培った人対象研究のノウハウ を活かし、臨床医が実施する患者集団を対象とする臨床研究(主に観察型)のデザイン設計、質問票推敲、調査の諸作業、データ解析 などに協力することが可能です。その協力を通じて、人対象研究のノウハウの研鑽や臨床の知見と考え方を深め、当講座が目指す 「臨床を意識した疫学研究」に活かしていきます。