患者さんへ
近隣の先生方へ
ご挨拶
平成28年4月より、上里博名誉教授の後任として、琉球大学皮膚科の教授を拝命しました高橋健造です。琉球大学医学部の開設時の初代教授である 名嘉真 武男先生から、野中 薫雄先生、上里 博先生と、沖縄県出身者と県外出身者が交互に教室主任となり、私で4代目となります。
現在の皮膚科教室は、皮膚外科グループと、膠原病・アレルギーグループがうまく融合し機能しており、私がこれまでに勤務した県外の大学病院よりも高度で果敢で責任を持った治療を行えていると考えます。琉球大学のように地方色の強い大学病院の皮膚科学講座が達成すべき目標として、次代の人材の育成、地域の最終基幹病院としての使命、さらには高度先進医療施設としてのチャレンジなどが挙げられます。医学部と病院全体の大規模移転を控え、国際性豊かな医学部をめざし、今後、皮膚科教室からもひとりでも多くの若手医師に国外留学の機会を与え、国内外へ発信し続けることが可能な皮膚科医・皮膚科学研究者を育てていきたいと思います。
昨今の日本の大学病院をとりまく医療環境は、病院経営や新臨床研修制度、新専門医制度の導入などにより大きく変化し、毎春、何人の新研修医(後期修練医)が入局するのか全く見当がつかないなど、医局の運営上も大変厳しい面も多くなっています。
県内の皮膚科医療体制を早急に整備するためにも、複数医師が赴任し研修連携施設として高度な診療や卒後教育の一環を任せられる赴任病院の確立も、早急の目標と考えております。毎年増加し手術枠の限度に達している大学病院での待期手術を、これら教室員の赴任する市中病院と共同での効率的に運用することも目指しております。
ご存じのように、皮膚科学教室に属する皮膚科医全員で、大学病院はもとより各島々などの近隣医療圏への出張診療もこなしております。大学病院の皮膚科を受診される全ての初診患者さんには、各クリニックの先生からの紹介状を持っての受診が必須となっております。また病状が落ちついた患者さん等は、皮膚科の諸先生のおられる病院や皮膚科クリニックへ、逆紹介の形で積極的に返って頂いておりますので、お忙しいとは存じますが、ご協力の程よろしくお願いいたします。
現在の日本の保健医療におきましては、大学病院でのみ可能な検査や、保険外診療などは全くございません。大学病院を含め全ての医療機関で、ほぼ同等の保険裁定が行われており、保険外検査などは全て、医局費からの持ち出しとなってしまいます。患者さんの紹介の際に漠然と、大学病院での精査を希望され、患者さんが何か特別な検査があると、必ずしも現実的ではない期待を抱かれ受診されることが、時にありますが、あまり過度に喧伝されましても、ご期待に添えません。限りある人的資源や時間を、高度で急を要する医療を必要とする皮膚病患者さんへ、最大限に割り当てるためにも、高度皮膚科医療を担えない近隣の病院への医師の派遣などは、今後、難しいこともあるかと存じますが、何卒、ご理解の程、お願い申し上げます。
今後も沖縄・琉球大学の名に恥じないよう微力ではありますが、診療、教育、研究に尽くしていく所存です。県内の諸先生のご指導とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
琉球大学医学部皮膚科学教室 高橋健造