フクシマプロジェクト:次の10年へ向けて(学生募集)

この3月で東日本大震災・福島原発事故より10年が経つことになります。この10年間、われわれの研究室では、福島原発事故の生物影響の解明に取り組んできました。研究費不足や人力不足などに悩まされながらも、いまのところ、継続して研究成果を出すことができています。これも研究室メンバーの献身的な努力と研究の趣旨に賛同していただいた皆様からの研究費支援のたまものです。この機会をかりて、皆様に厚く御礼を申し上げます。

そのおかげで、放射能汚染の生物影響について、実にいろいろなことがわかってきました。放射能汚染地域のヤマトシジミは福島原発事故が原因となって異常をきたしたことはもはや疑いの余地がないでしょう。原発事故の影響は、2014年までにはかなり減少したとはいえ、少なくとも事故後5年半の時点でも残っていました。幼虫が汚染されたカタバミ(唯一の食草)を食べた場合、その影響は次世代にも影響が及ぶことがわかりましたが、それは汚染されていないカタバミを食べれば帳消しにできることもわかりました。低線量の放射能汚染は、環境を介して間接的に作用する「フィールド効果」として生体に影響を与えるということもわかってきました。

しかし、まだ多くの疑問が残されています。初期被曝の影響はどの程度なのか、フィールド効果のメカニズムは何か、遺伝子レベルへの影響はどのようなものなのかなど、解決すべき重要な問題はまだ山積しているといってよいでしょう。これらの重要な疑問を解決しなければ、福島原発事故の生物影響に関する世界の常識を完全に変えることはできないかもしれません。

そこで、次の10年の幕開けに、これらの問題に取り組んでもらえる大学院生を募集いたします。これまで7年間にわたり主要な役割を果たしてくれた福島出身の研究室メンバーに代わり、今後のフクシマプロジェクトをさらに盛り上げてくれる仲間を求めています。以下に該当する方はご一考いただければ幸いです。

・学士号あるいは修士号をお持ちの方(分野は問いません)
・フクシマプロジェクトの趣旨に賛同できる方
・生物学を学ぶ意欲のある方
・沖縄が好きな方

理工学研究科(大学院)博士前期課程(修士)への入学には、筆記試験(英語と生物学)および面接試験が課せられますが、社会人特別枠では筆記試験は免除となり、面接試験のみとなります。試験は夏季に行われます。
興味のある方はお気軽にご連絡ください。一緒に次の10年間を歩んでいきましょう。

※フクシマプロジェクト以外の研究においても、これまで通り学生の受け入れを行っていますので、ご連絡お待ちしています。